嘘と嘘でさようなら

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 先輩の笑顔が崩れることはなかった。  ただ、駄目押しのようにふざけた言葉が返ってくるだけだった。 「でも、俺は好きだよ」 「でも、俺は嫌いです」  何とも浅い言葉を交わして、俺は彼に別れだけを告げた。祝いの言葉もなければ、親しみや好意らしい反応もないままに。  最後の最後まで、嘘つきだった。先輩は。  ――――そして、俺もまた。
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