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「6」
新政府発足から1年が経とうとしている。この1年で世の中はずいぶん様変わりした。
食物繊維が豊富に含まれているからと、人々はこぞって『六穀米』を食し、中華料理店の看板メニューは『六目チャーハン』になった。
六・七・六のリズムに馴染めず、廃業を余儀なくされる俳人が後を絶たない。また、人気アニメの花嫁は六等分にされてしまった。
「5」廃絶によって改姓を迫られた人々は、表札の交換費用、先祖代々の墓石の建替え費用等の大半を自己負担で賄い、政府からは雀の涙ほどの補助金が支給されるだけであった。
「五」の文字を謝って使用したため、ちびっ子に大人気のマンガ週刊誌が摘発されたのは記憶に新しい。それを受けて新聞各紙をはじめ、活字を生業とする各業界は校正者を増員して自己防衛に努めている有様だ。
また、重要参考人を取り調べ中の警察官が、ついうっかり口を滑らせ、同僚の警察官に取り押さえられるという事件も起こっている。
ある日突然「5」を奪われた国民、日本経済は、混沌とした暗雲に覆い尽くされていた。
そんな中、片田舎の小さな街でひっそりと、反政府勢力が産声をあげようとしていた。
つづく、、、
次回予告
「我が名は0。奪われし5を、我らが胸に!」
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