― ずっと好きだった人 ―

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3 ◇結婚生活に終止符を打った後で  その後元夫の正義は少しずつ想い人の女性嘉島優子にアプローチするも 彼女にはすでに将来を約束した意中の彼氏がいた。  子供がある程度大きくなってから籍を入れることになっているのだと 本人から聞かされた。  正義が何気を装って離婚したことを嘉島優子に話すと正義の好意を 知ってか知らで(ず)か、彼女は自分のことについて話してきた。  大失恋した正義。  思いもしない絶望。  なんということ。  振られることもあるとは思っていたが、すでに心に決めている男性が よもやいたとは!   考えの足りてなかった我が身を呪った。           ◇ ◇ ◇ ◇    彼女(嘉島優子)しか見えてなかった時には一度も貴理子のことなど 思い出しもしなかったのに失恋が確定になった日、鮮やかに色のついた 過去の日々と元妻のことが昨日のことのように蘇るのだった。            ・・・・・・・  この時、離婚してから2年の月日が流れていた。  彼女が自分のものにならないのなら、この先のビジョンが真っ白で何も 見えない。強烈な焦燥感にかられる正義。           ―――――――――――――  一方その頃正義の元妻は……。  貴理子は図書館でアルバイトしている時に12才年下の青年 (母親を早くに病気で亡くしていて年上の女性が好みでかつ、貴理子とは すごく波長が合う)青木誠二と知り合い再婚していた。  40才で離婚した貴理子は現在42才で妊娠6ヶ月になっていた。  細いのでゆったりした服装だとまだまだ妊婦には見えない。
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