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「うん、とっても似合うわ。リーナ、お姫さまみたいよ」
ご主人様が魔法で作ってくださった花冠。オヒメサマというものが何なのかよく分かりませんが、今はそれどころではありません。
「誤魔化さないで下さいリリー。わたしは何がお上手なのですか?」
「そうね、リーナはとっても歌が上手ね。アタシ、リーナの綺麗な歌声が大好きよ」
何だか上手いことはぐらかされた気がしましたが、ご主人様に褒められると自然と口角が上がり晴れやかな気持ちになります。
ご主人様は無知なわたしに日々沢山のことを教えてくれます。その中のひとつが"歌"です。
「リーナの声は可愛くて、とっても優しいの。だから貴女が歌うのをいつまでも聞いていたくなってしまうの」
「そうですか! なら聞いて下さい! わたし、リリーの為に歌います!」
胸に両手を添え、わたしはご主人様から初めて教わった歌を大切に紡ぐ。
そんなわたしをご主人様は穏やかで優しい眼差しで見守ってくれている……ああ、なんて満ち足りているのでしょう。
わたしは"リリー"と共に過ごす時間がとっても好きになっていたのです。
わたしはリーナ。
魔女・リリーによって作られた彼女のお友だち。
わたし達はいつまでも一緒
──だと思っていたのになぁ。
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