1人が本棚に入れています
本棚に追加
「何しているの?」
「花見です」
「まだ咲いていないよ」
「向こう側で恋のお花が咲いてるんです」
そこまで会話して僕はようやくお堀の向こう側、まだ硬い蕾のつく枝の下に立つ男女の存在に気がついた。顔を見合わせ、笑いながら会話している様子に二人の関係の近さが観察できる。
「昼休み、ちょっと一緒に外に出ません?」
気になっていた君に誘われ浮ついていたせいで、僕の視界は君限定になっていたから。
君は顔を少し俯き加減にし、伏せた前髪で彼らのことを半分隠して半分見ている。
最初のコメントを投稿しよう!