お花見

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「何しているの?」 「花見です」 「まだ咲いていないよ」 「向こう側で恋のお花が咲いてるんです」  そこまで会話して僕はようやくお堀の向こう側、まだ硬い蕾のつく枝の下に立つ男女の存在に気がついた。顔を見合わせ、笑いながら会話している様子に二人の関係の近さが観察できる。 「昼休み、ちょっと一緒に外に出ません?」  気になっていた君に誘われ浮ついていたせいで、僕の視界は君限定になっていたから。  君は顔を少し俯き加減にし、伏せた前髪で彼らのことを半分隠して半分見ている。
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