6★

3/3
前へ
/30ページ
次へ
 そのまま寝室へと入り、乱暴に巽をベッドへ投げ捨てる。驚きと衝撃で巽の息が一瞬止まった。 「巽さんが結婚することも、なんなら彼女を作ることも一生ないよ。全部俺が邪魔するから……巽さんは一生俺のものだ」  灯希が巽の体に馬乗りになり、巽のシャツを割くように脱がした。ボロボロになったシャツを床に捨て、今度は巽のパンツに手をかける。それまで驚きで灯希を見上げるだけだった巽が慌ててその手を止める。 「灯希、これ以上はだめだ。こんなの……家族じゃない」 「巽さん、俺は巽さんのこと、一度も家族だなんて思ったことない」 「え……」  灯希は巽の手を簡単に引きはがし、下着ごとパンツを脱がした。一糸まとわぬ姿にされ、巽の肌が震える。けれど今の巽には裸にされたことより、灯希に『家族だなんて思ったことない』と言われた事の方がショックが大きかった。巽の方は、姉や両親よりもずっと近い家族だと思っていたのだ、その気持ちを否定されたようで切なく、苦しい。 「巽さん、そんな顔しないで。家族とは思ってないけど、巽さんを愛してるから」  灯希が巽にキスをする。ちゅっ、と唇を食んでから、舌先がその隙間から入り込み巽の舌を絡めて愛撫する。口の中で動き回る灯希の舌は艶めかしく、粘膜を擦られると快感が巽の頭の中を徐々に溶かしていくようだった。 「ん……と、き……」  これ以上はダメだ、と頭の奥で警鐘が鳴っている。巽はめいっぱい腕を伸ばして灯希を遠ざけようとするが、体格差なのか、あっさりと巽の手は灯希に絡め取られ頭上でひとつにまとめられてしまった。 「こんなに好きなのに……巽さんの中の俺はいつ大人になるんだよ」  灯希が瞳いっぱいに涙を溜めてこちらを見下ろす。熱のこもったその言葉の意味が分からなくて巽はどんな顔をしていいかも分からなくて視線を外した。そうした途端、灯希の片手は巽の中心に伸び、扱くように動かされた。びくり、と巽の体がその刺激に反応して跳ねる。 「灯希、だめ、だ……」 「ダメな顔してないよ、巽さん」  巽の中心を手で扱きながら灯希が巽の胸に唇を寄せて舌で舐める。それだけで巽の乳首はつん、と尖ってしまった。灯希は更に巽の胸に吸いつきながら、中心を愛撫する。 「や、灯希、さわ、るな……んっ」  巽の中心からはとろとろと蜜が零れている。本当はこんなことしてはいけないと分かっているのに、体は素直に灯希のくれる快楽に喜んでいる。 「巽さん、俺のこと好きになってよ。俺じゃなきゃいけない体になって」  好きなんだよ、と灯希が耳元でささやいて、手を早める。頭の中が真っ白になる心地よさにとうとう屈服した巽は、押し寄せる快楽の波に身を任せるように絶頂へと駆け上った。  灯希の手の中に白を吐き出した巽が、ゆっくりと灯希を見上げる。 「俺のこと、ちゃんと一人の男として考えて、巽さん」  灯希は緩く笑むと、そのまま巽から手を離しベッドを降りた。 「灯希……」  声をかける巽を振り返ることなく寝室を出て行った灯希は、そのまま部屋を出て行ったようで、玄関のドアの閉まる音が遠くから響いていた。  それでも巽はベッドから動く事が出来ず、今起きたことも、灯希の言葉も上手く受け入れられないまま、ゆっくりと目を閉じた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

976人が本棚に入れています
本棚に追加