第四話 籠城

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「現有の物資を確認し、役割分担を決める」  正式に緊急時のリーダーを拝命した螺節(ラセツ)が短い指示を下した。霧深いこの天候の中で慣れない山道を動き回るのは自殺行為だ。そしてそれは敵も同じはず。満足な追跡が難しいのはあきらかだから、当面は待機するに違いない。だからこちらも耐久戦初日の今日はこの洞窟で身を潜め、準備を整えるのに専念することになった。  昨夜螺節(ラセツ)が略取してきた小魚の丸干しを加え、洞窟内に備蓄した食料は優に十日分あった。逆に、武器に関してははなはだ心もとないことが判明した。弓が一張(ひとはり)に矢は二十本。長剣も真暮(マグレ)が持つ一振(ひとふり)だけで、短剣も螺節(ラセツ)が腰に下げた二匕(にひ)のみ。ほかに武器になりそうなものは学生たちに持たせていた(ビッチュウ)とスコップが二本ずつ、片手で扱う小さなシャベルが三丁、それに丈夫なロープが二巻き。 「およそ戦争できる装備じゃねぇな。エルフのねえちゃんは、なんか攻撃魔法とか持ってないのかヨ?」  真暮(マグレ)の乱暴な物言いに腹を立てるでもなく、キャラルは弱々しく首を振った。 「ごめんなさい。そういうのはまったく教わってないんです。治癒魔法なら少しはできるんですが。流血を止めたり傷口を塞いだり、あとは痛みを和らげることくらい……」 「あー、まあ必要になったら頼むわ。てか、ほんと役にたたねぇな、あんた。召喚だって、こんなどぉっしよーもないカス掴んでくるだけだしヨ」
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