1人が本棚に入れています
本棚に追加
あかりが目覚めたのは払暁前だった。
目の前には誰もおらず、すぐ横ではキャラルが変わらず寝息を立てている。
―― しまった! スマホ出しっぱなし。
慌てて下を見たあかりの目の先には、スリープ画面で沈黙しているスマートフォンが右手に乗っていた。昨夜のまま。
急いでポケットに仕舞いこんで、あかりは身体を地面に横たえた。上掛けの布を頭までかぶる。
―― あのわんこくんは、夢?
深夜の不思議体験に占領されたあかりの心は、いつの間にかその背骨を、もう一度立ち上がれるくらいまで修復させていた。むろん、まだ十分ではないけれど。
最初のコメントを投稿しよう!