第五話 慰撫

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 あかりが目覚めたのは払暁前だった。  目の前には誰もおらず、すぐ横ではキャラルが変わらず寝息を立てている。 ―― しまった! スマホ出しっぱなし。  慌てて下を見たあかりの目の先には、スリープ画面で沈黙しているスマートフォンが右手に乗っていた。昨夜のまま。  急いでポケットに仕舞いこんで、あかりは身体を地面に横たえた。上掛けの布を頭までかぶる。 ―― あのわんこくんは、夢?  深夜の不思議体験に占領されたあかりの心は、いつの間にかその背骨を、もう一度立ち上がれるくらいまで修復させていた。むろん、まだ十分ではないけれど。
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