ウソつきな彼の最後のホント

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 休日。  久しぶりに家でのんびりしようと歩夢が言うから、私は朝から歩夢のアパートに入り浸り、一日中ネットゲームをしてダラダラ過ごした。  昼はコンビニ弁当で軽く済ませたけど、夕飯くらいはちゃんとしたのが食べたくて、二人で作ることになった。  メインのハンバーグを私が作り、スープとサラダは歩夢が作る。  狭いキッチンで二人身体を寄せ合いながら、わいのわいのと楽しく作った。  ようやくハンバーグが焼き上がり、いざ食べようという時に、歩夢が突然言ったのだ。 「風花の卵焼きが食べたい」と。  歩夢は、私が作る甘い卵焼きが好きなのだ。  これで十分じゃん? と言う私に、歩夢は駄々っこのように、いいじゃん作ってと甘えてきた。 「仕方ないなぁ」  歩夢のこういうところ、嫌いじゃない。  私はニヤけそうになるのを堪えながら、しぶしぶという(てい)でキッチンに立った。  卵を三つ、ボウルに溶く。私のレシピは、たっぷりのお出汁に醤油を少し。そして、砂糖はちょっと多め。 「お砂糖取ってくれる?」 「はいよ」  歩夢が砂糖ポットを手渡す。スプーンですくってボウルに入れるところで、私は気付いた。 「ねえこれ、塩じゃない?」 「あ、バレた?」  えへへ、と肩をすくめ、「嘘噓。本当の砂糖はこっち」と歩夢は砂糖のポットを手に取った。 「またそんな嘘……っ」  その瞬間、私の堪忍袋の緒が切れた。
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