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けれど、時が経つにつれて、なんだか特別な存在だとは思い始めても、いて。正面から体当たりで、喧嘩を吹っ掛けたり吹っ掛けられたりして、取っ組みあいをする芽衣は、何事にも全霊で挑んでいたんだ。中学も一緒で、合格したとお互い知ったときは。
『またあんたと? 面倒見るわたしの身にもなれよ~』
とか、どーとか言ってはいたが、数少ない本音を零してぶつかりあえる相手だ。俺は、ウルセエ・こっちだって御免だ。とか言いながら、内心では喜んでいた。
「ウルセエな」
俺はそっぽを向き、息をつく。芽衣はため息をついているようだったが、あんたさ。とベンチの隣に座り、カバンを漁り出す。
「3年生に喧嘩売って勝っちゃって、停学って。まぁ、あんたのことだから理由ナシになんてことはないんだろうけど、無謀だっての。怪我の手あてしてくれるおばさんの心、考えたことあんの? おじさんだって心配してたよ」
「クソ親父の話はすんな! あんな奴どうでもいい。停学程度で毎度俺のことぶん殴ってる奴だぜ。ドメスティックバイオレンスだっての」
「それが親の愛だっての。ほら、ちょっとこっち向いて」
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