無限色カレッジ

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 言葉も、久々のグーパンチも、心に届いたよ。そう言って、芽衣は「わたしばっかで、ばかみたい」と苦笑して目を伏せる。宗矢の口元の血を親指でそっと拭い、惚けている彼を見つめて。 「有難う。シュウ。わたしに、もう一度踏み出す、勇気をくれて。」  そうとだけ言うと、芽衣は宗矢の肩に腕を入れて。「家、帰ろう」手当てするから、と立ちあがろうとした、瞬間。 ──。  もう片腕を引き寄せられ、口づけられる。目を見開いたが、目の前には長い彼の黒々とした睫毛があった。──少し、経って。「来ないと思ったし、それが、当たり前だと思った」 「あんなに当り散らして。お前の痛みもわかってやれないで、暴力まで振るった。嫌われたと思った。だから、もう、死ぬのかな、とまで思った。さっき、お前、俺のこと王子様って言ったよな。でもな、駆けつけたお前の方が、俺からすりゃ王子様だよ。いや、雄雄しすぎるお姫様か。ジャリんときからかわってねーわ……お得意の柔道と喧嘩の腕も衰えないで。ほんと、もう、……わかるよな」 「……うん」少し俯きがちに。ポッと目元を赤らめ、頷く。「でも」
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