無限色カレッジ

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 芽衣を抱きよせ、──不意打ちの長いキス。目をむいていた芽衣だったが、サッカー部全員が拍手をして祝福してくるから。涙が、次第ににじみ出てくる。 「はーいはいはい! ここにケンカップル誕生でーす! ほらほら、みんなで写真撮ります! とりあえず、一軍の人たちから撮りまーす! みんな集まってー!」  笑顔でマネージャーが三脚を用意して駆けてくると、わらわらと一軍の輩が集まる。「いつまでキスしてんですか」「っとにね……すけべ!」「男は、皆ケモノだからそうだな!」そうやりとりをして、笑いがこぼれる中で。 (ばーちゃん。わたし、幸せにやってるよ。お父さんお母さん、もう遠い昔だけど、産んでくれてありがとう。だからわたし、シュウに出会えた。)  みんな心配しないでね。わたしは元気だから。いつかお年寄りになって、そっちに往ったとき、いっぱい色々なことを話そうと思うよ。 ──笑顔の後輩たちと、恥ずかしそうな恋人に囲まれ、もう勇気を出して歩いてゆく道はたったひとつ。“未来”だけ。…… 「シュウ」 「ん」  帰り道、手を繋いで帰路を辿るところで。
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