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大将とアズマさんが何かしら冗談を言い合っている。
二人は本当に楽しそうだ。
「はるちゃん、ちょっとちょっと」大将が呼ぶ。
「なんですか」また二人のところに行った。
「今度、土曜日、中山でグランドジャンプがあるんだ。どうだい興味ある?」大将が聞いてきた。
「そんなの興味あるわけないじゃないですか。障害のGIレースなんてマニア中のマニアですよ」アズマさんがフォローしてくれた。
「よくわからないです」
「じゃあ、尚更いいや、二人で行って来なよ。中山競馬場。いいところだよ。森林公園と動物園を足して2で割ったようなところだ」
「兄さん、ホントにその例えであってます?馬しかいてないですよ」
「馬だって動物だ。なあ、はるちゃん?」
「動物は嫌いじゃないですけど、賭け事するところでしょう?」
「大丈夫だって、軍資金は全部、こいつに出さすから。負けることはない!」
大将がアズマさんを指差す。それをアズマさんが手で払いのけた。
「もう、兄さん、勝手なことばっかり。はるちゃんさんが困ってるでしょう」
「いや…でも…そんなの悪いです…」私は困惑するばかりだ。
「とにかく二人で行ってこい。これは店主の命令だ。今ここで連絡先を交換しなさい」大将が目を向いてこちらを睨む。
アズマさんが箸袋の裏に電話番号を書いてくれた。私もコースターの裏に電話番号を書いた。
アズマさんの箸袋を慌てて、ズボンのポケットに入れた。
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