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家庭を顧みていないわけではなかった。
家族3人、出来るだけ不自由がないように、金銭面で悲しい思い、寂しい思いが無いように仕事に打ち込んでいただけ。
女の子なのだから、お金がかかることもあるだろう。
娘がもし何か壮大な夢を持ったら……。
お金が無いから夢は諦めよう、そう思わせるのはどうしても嫌だった。
仕事に打ち込んだお陰で、役職もだいぶ高くなったし、収入も増えて貯蓄も増えた。
それに関しては、私は自分を褒めてやろうと思っている。
しかしその分、家庭のことは妻に任せきりになってしまったことは自分でも認めている。
家族の時間を優先させ、仕事の時間をセーブすべきか、それとも娘が将来不自由のないようにしっかりとお金を貯めておくべきか。
一家の大黒柱たる自分には、それを決定する義務があると思っていた。
それだけ必死に仕事に打ち込み、娘も成長し、貯えも充分になってきたそんな時に、突然の結婚の報告。
「相手は……どんな奴だ?」
私は、未だ顔も知らない相手に怒りを覚えた。
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