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次の日。
「おぬしは、どうして異世界に転生したいと?」
「はい! 私は前職で経営コンサルティングをしており、その経験を生かして異世界の発展に役立てたいと思います!」
「現実世界がつらくて、異世界で羽目を外そうとしてはおるまいな? 例えば未成年の女を漁ったり」
「いいえ。私は、異世界は現実逃避のための楽園ではなく、私自身の能力や経験を試し、成長するチャンスだと考えています」
「うーむ。では最後に、自分をモノに例えると?」
「はい! 潤滑油です。協調性があり、周りにあわせ仕事が順調に進むよう、皆のまとめ役になることができます。大学のサークルでも部長をつとめあげ(以下略)」
「ダメだ! 就活生みたいな奴らしか来ねぇ!」
「何がダメなんですか? 『ちゃんとした人』たちじゃないですか」
「面白みがない」
ゼウスが頬杖をついてため息をつくと、側近は『そうですか……』と白い目で彼を見た。
「それになぁ!」
とゼウスは続ける。
「みぃ~んな揃いも揃って同じことばっかり言うんだよなぁ! 私は協調性があり~私はリーダーシップがあって~。御社で成長したいですぅ~。あと潤滑油とスポンジしか来ねぇ! ここはソープか!?」
ぜぇぜぇとゼウスは肩で呼吸をした。そして、側近に向かってこう言った。
「正直者で、個性があって、ユニークな人材を連れて来い!」
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