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「ロクな奴が来ねぇ……」
白髭の老人――ゼウスは頭を抱えた。彼は、異世界の神であり国王である。そして、『異世界転生』希望者の面接官をしている。
ここ十数年はアニメの影響なのか、異世界転生チートでハーレム目的の奴らばかり受けに来る。こっちは転生者に世界を救ってほしいというのに。
「はぁ……」
ゼウスは大きくため息をつくと、側近に苛立ちまじりに話しかける。
「もっと『ちゃんとした人』を寄越してくれ」
「ちゃんとした人……とは?」
そこでゼウスは、ふうむ。と少し考え込む。確かに言語化するのは難しい。
「うーん。社会人として真っ当に仕事をして、責任感があって、誠実で礼儀正しいそんな人かの」
「分かりました!」
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