#6 ロチの制服とエリジェーベトの興奮

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 共有スペースにはジェーンの言う通りトビアがいた。それと、奥の1人用の椅子にエリジェーベトもいた。 「トビアさん、開封の同席をお願いしてもいいですか?」 「いいですよ。」 「え、何か届いたの?見せて〜。」  ジェーンにお願いされたトビアは読書をやめて立ち上がった。トビアはロチが持っている小さい箱に目を遣ると、何かを察した表情を微かに出した。 「ロチくん、その箱はテーブルの上で開けた方がいいと思う。ここに置いてくれたまえ。」 「うん……わか……りました。」  まだトビアと深く関わったことのないロチは、思わず敬語になってしまった。とにかくテーブルに箱を置くと、箱に「貴重品在中、同席者を持って開封」のラベルが貼られていた。ロチはここでジェーンがトビアに頼んだ理由を理解した。三人に見守られながら開封する。中には麻袋と手紙が入っていた。ロチは手紙と麻袋をテーブルに出す。すると麻袋はチャリンと音を立てた。その音からこの中にはお金が入っていることがわかった。ロチはそれを察しつつマゲイルの手紙を広げ、読み上げた。 「ロチくんへ。君の制服と一緒に多少ばかりだが五万カインを送付する。これで制服以外の服や学用品を買ってくれ。その後の小遣いや出費は今後考えていく。マゲイル。」 「……大金だね。これは他の人が必要ね。」  エリジェーベトは金額を聞いて納得した。 「ロチくん、この場合は中に五万カロンきっちりあるか複数人で確認する必要がある。面倒かもしれないが、ここで数えてくれ。」  トビアがそういうと、ロチはテーブルにお金を広げた。ジャラジャラと流れ出てきたお金は相当な額であることが伺えた。ロチは意を決して数え始めた。 「四万九九九八枚、四万九九九九枚、五万枚……確かに五万カインありました……。」  疲れ果てたロチは三人にそう伝えた。足のないジェーンはともかく、他の2人は座りエリジェーベトは茶菓子を持って来ていた。 「ロチ、お疲れ様!これお菓子とお茶。良かったね〜、一緒に買い物に行きましょ。」  明るく声をかけるエリジェーベトの奥で、トビアは用意された茶を啜る。ジェーンは「では失礼します。」と言って、スッと消えていった。買い物をしようにも、学校周りの店は閉まっている。今は考えるよりも茶を啜り菓子を食べることに集中する。菓子は甘く、疲れた頭によく沁みる。 「もう一つの荷物はどうなんだ?制服なんだろう?」  トビアにそう言われて、荷物の存在を思い出した。荷物の箱は大きく中には制服というが、ここまで必要なのかと思うほどだった。ロチは箱を開け、中を見る。そこには馴染み深い服が入っていた。その服は本格的にレツから教えを受けた日、レツと同じ模様の服のようだった。少し気持ちが盛り上がり、すぐに掴み出す。それは今までものよりもやや長い丈で、これだけ着たとしても脛より下が丸見えになる。ロチが理解し難さの表情を浮かべていると、エリジェーベトが何かを見つけた。 「ロチ!もしかしてこのスカートも履くんじゃない?絶対可愛いよ!ね?着よ!私も手伝うから!」 「う、うん……」 ロチよりもエリジェーベトの方が楽しそうだった。ロチはそんなエリジェーベトを、いつも楽しそうだなと思った。 「着替えるなら部屋か自習室でやってくれ。俺がいる。」 「わかってるわよ〜。ロチが来たらちゃんと見なさいよ!」  エリジェーベトに言われたトビアは「わかった」と本を読みながら答えた。その答えを聞いた二人は自室に向かった。
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