逃走

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逃走

「苦しい」我慢の限界が来た。人生全部親のせいで壊された。くそくそくそ 涙で視界がぼやける。それでも反抗できないのはもう反抗できるほどの力が残っていないからだ。 逃げようと思った。スマホと財布、充電機器とイヤフォン、雑にいつも学校に行く時に使ってるリュックに入れてく。寒さ対策の為にブランケットを入れておく。一通り必要そうなのをリュックにひたすら入れて人生初の家出をする。  物音をあまり立てないように階段を下り、家の外に出る。  春なのにまだ肌寒い。コートを羽織っておいて良かった。 自転車に乗り家という名の僕を縛り付ける檻から遠くへ行きたい。 ひたすら夜の薄暗く静かな裏道を漕ぎ続ける。電車はもうないからとりあえず朝になるまで逃げる。朝になったら海が見える場所まで移動しようかなんて考えながらひたすら漕いでいた。  人気(ひとけ)がない神社が見え、ひとまずそこで眠ることにした。自転車を物陰に止め、鍵をしめる。 神社だったら怖い人が来ることもまずないと考えた。いるかどうかわからない神様も神社で眠ることに怒ることはないでしょう。 神社の御社殿の隣にあるベンチにブランケットをしいて寝転んだ。コートを脱ぎ布団がわりに上からかける。意外とあったかくてすぐ眠れそうな感じがする。 心地良い温かさに包まれながら僕は眠りについた。
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