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次の日、目が覚めると、私の隣に薫が寝ていた。私は自分の手をつねってみた。
痛い。
生きてる。
「薫、起きて」
「おはよう」
相変わらず寝起きが悪い。
「ね、新しい1日だよ」
「世界は終わってなかったの?」
「父さんは?」
父の部屋に行くと誰もいなかった。
キッチンからいい匂いがする。
「え」
「母さん」
「薫、おはよう」
薫が母にぎゅっと抱きついた。
「母さん、戻ってきてくれたんだね」
「何言ってるの?あの子は?」
「沙彩、いろいろあって昨日泊めたの」
「勝手にすみません」私は頭を下げた。
「ご両親と喧嘩でもしたの?心配してるわよ。朝ごはん食べたら、家に帰ったほうがいいわよ。薫が家出した時、心配で何も食べられなかったから」
「わかりました」
「父さん、あ、何でもない」
「あ、夢に出たんでしょう?私の夢にも、父さんが初めて出てきたわ。元気そうだったけど、いつ帰ってくるのかしらねえ」
テレビをつけてニュースを見た。
世界終末論なんてなかったのように、平和だった。今流行の服なんかの特集をやっている。
「サアヤ、私たちが父さんの世界に紛れ込んじゃったのかもしれないね」
「そうなのかも。カオルと友達になれて楽しかった。そうだ、LINE交換しよ」
私は朝食をいただいて、自分の家に戻った。
家に入ると、キッチンからいい匂いがしてきた。
「おはよう、母さん」
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