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天の助けにも見えた。高橋は苦手で毛嫌いしてる佐藤をこの時ばかり神々しく輝く仏様のように見えて思わず「さっ、佐藤さんっ!助けてください!」と泣きそうな表情で叫んでいた。
「なんだぁ お前?」男がぎろりと佐藤を睨みあげた。
「お話し、面白かったんで庭の手入れしながらしっかり聞いてたんですけど」
「しっかり聞いてんじゃねぇよ」男の一人が呆れた顔して言い返した。
「西岡さんの借金の三千万円、返せたら良いんですよね?」
臆するどころか佐藤はけろりとしている。男二人は一瞬ちらっと顔を見合わせた。
「このお嬢さんがな。…あんた何なんだい、さっきから?」
「僕が高橋さんにお年玉をあげて、貰ったお年玉を高橋さんが貴方達にお返しって形にすれば全部チャラになるんですよね?」
「ま、まぁな…。でも利子もつくから…まぁ滞納分として五千万返してもらう事になっけど…」
「ごごご五千万っ!?三千万が五千万!?」高橋は目を丸くした。
「だから利子付けてって言ってんだろ」
「付きすぎじゃないですか!!詐欺よ、詐欺!!」
「どこが詐欺だよ!?どこが!?こっちだってなぁ、仕事なんだよ!!」
「はいはい分かりました。では皆さん我が家にお上がりください。お年玉を高橋さんにあげなくてはなりませんから」
「さ、佐藤さんっ!」
「良いんですよ、高橋さん。それに僕、お金にそんなに興味ないので持ってても使い道がありませんから」
佐藤はにこりと微笑んだ。
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