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『うんうん…へぇ!さっそくそんな面白い人と知り合ったの?良かったじゃん!』
携帯の向こうからやけに弾んだ友人の声が聞こえてきてイラッとなった。こっちは何にも面白くないからだ。
まだ片付け終わってない荷物のダンボールをテーブル代わりにして そこに置いたマグカップに入った淹れたてのカフェオレをスプーンでかき混ぜながら高橋は深いため息をついた。
「全っ然良い事なんてないんだけど!」
『なに怒ってんのよ?ご近所さんと挨拶出来たんだから良かったじゃないって意味でこっちは良かったじゃんって言ったのよ?他に同じアパートに住んでる人にも何人か会って挨拶したんでしょ?』
「うん…まぁ。アパートに住んでる人達は皆普通に優しそうな人達だったから良かったけど…最初に挨拶した人は最悪だった」
『あははっ、佐藤さんだっけ?』
「そう、全身黒いやばい人」
『服装が、でしょ?』
「葬式屋さんみたいだったよ。爪まで真っ黒だった」
『良いじゃん、クールで!私もよく黒いネイルするよ?』
「眞知子のはだって黒は黒でも黒の間にシースルーネイル挟んだりしたりしてて何かお洒落だから良いけど、佐藤のはただただのぺっとした真っ黒だもん!何か全然かっこよくない!」
『のぺっとしたって…』
眞知子こと西岡眞知子は苦笑いした。
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