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何だかはぐらかされた気もするが高橋はそれ以上聞くのはやめた。何故なら眞知子は高校の時にずっと付き合っていた彼氏と大学が別になるのをきっかけに最近別れたばかりなのだ。しばらくの間落ち込んでいたのがようやく元気を取り戻してきたばかりだったのでまたあれこれ聞いて落ち込ませてしまったりしたら嫌だと思い高橋は聞き返すのをやめたのだった。
『とりあ、大学生活最初の1日目終わったらさ、里香達と一緒にご飯食べ行こうよ。良い店予約しといてくれるって言うからさ』
「うん!行こう行こう!…でもさすが里香だよね、都会慣れしてるって言うか…やっぱ凄いよね。それに比べて私なんてまだ一人で電車乗るのとか緊張しちゃってさ、新しい店見つけたり寄ったりするのも今そんな余裕すら無いって言うか何かまだ一人でアホみたいにドタバタしてるって言うのにさぁ」
『分かる、それ。私もまだ電車とか緊張するよ。今朝だってさっそくバス乗り間違えたし…。里香はさ、ほら、ライブとか観に行くのに学校が休みのたびに毎回一人で新幹線乗って都会に遊びに行ったりしてたから人混みとかも慣れてんじゃん。だからだよ、色んな店知ってんのとかさ。自分と里香を比べる必要ないって』
「そだね…ありがと眞知子」
『うんうん。羅夢はいつも通りのんびり朗らかニコちゃん羅夢で居てくれればあたしゃ嬉しいぞ』
「ニコちゃんって…」
『褒めてんの。あっ、そろそろお母さんに電話する時間だから電話切るね』
「うん、分かった。じゃあまたね」
ピッと電話を切って、高橋は ふぅ と息を吐いた。
眞知子と話しするとホッとするなぁ…。佐藤の事も忘れられるし…「…って全然忘れられてないじゃん私!何思い出してんの私!」
別に目に見えて嫌な事をされたわけではないのだがどうにも佐藤のにこやかな顔を思い出すと苛々してならなかった。
悪夢探偵事務所…か。「どんな事務所よ…」
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