貴方の悪夢引き受けます

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「あっ、それ最後に食べようと思って残してたやつ!」 「好きなものはさっさと食べなきゃ取られるんだよ。世の中弱肉強食ってよく言うじゃん」 大好物の唐揚げをぺろっと食べられてしまったので高橋は眞知子を も〜! と恨めしそうに睨んだ。 二人は大学の食堂で並んでお昼を食べていたところだった。新学期と言うのもあって大学内はピカピカの小学一年生ならぬピカピカの大学一年生だらけだからかなり賑やかで そんな新入生達を興味津々に覗き込みに来ている先輩達も結構居て 何だか今日の大学は普通の日なのにちょっと何処かお祭りのような感じになっていた。 賑やかなのは嫌いじゃなければ特に好きってわけでもない、つまり別に普通なクールな眞知子は後ろの方に居る騒がしい同級生達をちらっと振り向いて「ちょっと煩くて落ち着かないよね」と小声で高橋に呟いた。 「確かに…。でも楽しくて良いんじゃない?」 「そう?…まぁ初日だし初めましての人達が大半なのは分かるからしょうがないのかもしれないけど、何かあんまり騒いでる人達見るとさ まだ高校生気分抜けて無いのかな?って見ててちょっとこっちが恥ずかしくなってこない?」 「あはは…」高橋は苦笑いした。 「あのキャラ物のパーカー着てる男子とかさ、現役高校男児まんまじゃん?ストリート系狙って着てんのかもしんないけどちょっとズレてるよね?ダッサ…」 「ま、眞知子っ!聞こえちゃうよ!」 「大丈夫、大丈夫。こんだけ騒がしいんだから聞こえやしないって!…ってかさ、今朝会った時から思ってたけど羅夢のその服可愛いじゃん!やっぱあんたそう言うパステルカラー似合うよねぇ」 「そ、そうかな?大学生になったからちょっと大人っぽいやつに挑戦してみたんだけど…変じゃなかったなら良かった。本当はこう言う綺麗系な服って着慣れてないから今朝これ着た時 服に着られて見えてたらどうしようって少し不安だったんだぁ」 「全然大丈夫!超似合ってるから!垢抜けた感じでめっちゃ可愛い!」グッと眞知子は親指を立てた。
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