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高橋を間にしたまま取り立て屋の二人も含めて三人は佐藤の後についてって家の中に入った。
真っ黒の家具で揃えられてるせいもあってか三人は揃って 何だかちょっと魔女感のある怪しい家だな と思いながら辺りを怪訝そうに見渡しながら各自無意識に身体を寄せ合いながら静かに歩いてリビングに入っていた。すると突然足元で 「にゃあ(やぁいらっしゃい)」と挨拶されたので三人は揃って わあ! とびっくりした。
「彼はミケ、僕の家族で親友です。あっ、今押し入れからお金を出すので自由にしててください。あぁ、飲み物ならどうぞ勝手に冷蔵庫から取ってきてくれてかまいませんよ。お腹が空いてらっしゃるなら確か今朝のあまりのロールパンが台所のテーブルの上にあったはずですし…。あ、ちなみにそのパン僕の手作りです」
絶対食べない。 三人は揃って心の中で返事した。
「…つうか押し入れから金出すって、普通銀行に預けるもんなんじゃねぇのかぁ?」
「僕通帳ないので」
「はぁ!?冗談だろ!?」
「本当ですよ、斉藤さん」
「誰が斉藤だよっ!?俺ぁ白川だ!」
「黒い仕事してらっしゃるのに名前が白だなんて面白い方ですね。あははっ!」
「…てめぇ締められてぇんか?」
「やめとけよ白川。無駄に荒すとボスにどやされる」
白川の同僚で仕事のパートナーの綾瀬は そう言うと「佐藤つったか?本当に金あんだろうな?」と リビングの押し入れに身体を突っ込んでガサゴソ何か探してる佐藤を怪しく思って睨んだ。
「えぇ、えぇ、ありますよ。この中に…っとと!久しぶりに出すから凄い蜘蛛の巣…やっぱり押し入れの中もバルサンたいておけば良かったな…」
コホコホ咳払いしながら白い埃まみれになって佐藤が引っ張り出した“大きな入れ物”を見て三人は驚いて目をまん丸にした。
「さ、佐藤さん…それって…」高橋が恐る恐る大きな入れ物を指差すと「はい、“壺”ですね」と高橋ははっきり答えて そしてやはりいつものように にこっ と笑った。
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