貴方の悪夢引き受けます

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「……な、なんだよコレ?俺達の事 馬鹿にしてんのかぁ?」 白川が眉を寄せると「いやいやまさか」と佐藤は言って壺の蓋をきゅぽんっと開けた。 「中にお金が入ってます。だいぶ昔に祖父から頂いた物でしばらく数えてないので正確な金額は分かりませんが、壺を頂いた時に祖父から『軽井沢に大きな別荘を建てられるくらいは軽く入ってる』と言われたのを覚えてるので それなりに入ってるんじゃないかと…」 ますます怪しくなってきた。そう言っといて本当はジジィの骸骨でも入ってんじゃないだろうな?と白川は中を確認するのをちょっと躊躇って 後ろに居る綾瀬を見た。 どうやら綾瀬の方も白川と同じ事を思っていたようだった。二人は頷くと 一人 ぽけっ としながら成り行きを眺めていた高橋に視線を落とした。 二人に見られてる事に少し経ってから気付いた高橋は「えっ、なんですか?」と二人を交互に見た。 「嬢ちゃん、壺の中見ておいで」と優しい笑顔で綾瀬は高橋の背中をトンッと押した。 「なっ、なんで私が…!お金欲しがってるのはお二人なんですから二人で確認したら良いじゃないですか!!」 「ぎゃんぎゃん騒ぐな。犬かおめぇは?良いから壺の中黙って見ろ」ちょっと苛立って白川が怒鳴った。 「それが人に物を頼む言い方ですか?」 「あんた、自分の立場分かってて言い返してきてんの?良いんだよ別に、俺達ぁ あんたが身体で払ってもらったって」 「ぐっ…」それは絶対嫌だ! 「…もうなんで私がこんな目に…」高橋は渋々佐藤の後ろから壺の中を えいっ と確認した。するとその中には… 「……えっ、百円玉?」 「あん?」と白川と綾瀬も中を覗いた。中に入っていたのは大量の小銭の山だった。それも全部百円玉。嘘だろ… と二人は絶句した。
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