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「お兄さんの方は西岡さんと面識は?」
「いえ、ありません」白川はきっぱり答えた。
「“妹から”たまに話しを聞く程度で実際に会った事はないです」
「そうですか。分かりました。…では高橋さ…羅夢さん、西岡さんが亡くなる前、西岡さんから何か聞いていた事などあったりしますか?例えば…そうだな……何か相談されていたとか、もしくは西岡さんに変わった様子が見られたとか…」
「…いえ。大学終わりにいつもみたいにバイバイってするまで眞知子はいつも通りの眞知子だったと思います」
「するまで、とは?」
「あっ、ごめんなさい、言い間違えました。バイバイってするまでじゃなくて…えっと、とにかく私と居る間はずっといつも通りの眞知子だったって言いたかったんです。喋り下手でごめんなさい…」
「謝らなくて大丈夫ですよ」
こいつ鋭い奴。仕事する時はこいつにだけは目をつけられねぇように要注意しとかなきゃだな…。琴森を見ながら白川はごくりと唾を飲んだ。
「琴森さん、眞知子は本当に亡くなっちゃったんですか?」
「見りゃ分かんだろ」と白川が言った。
「でもっ…」
「えぇ、残念な事に亡くなっています。身体に生活反応が見られますのでもしかしたらこの場所ではない別の場所で殺害されてからこちらに運ばれた可能性もありますね」
「そんな…」やっぱり眞知子は本当に死んでしまっているんだ!高橋はショックが大きすぎて逆に涙も流せずその場で呆然としながら倒れている眞知子をただ眺めている事しかできなかった。
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