貴方の悪夢引き受けます

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「話しを遮ってしまってすみませんでした。話しの続きをどうぞ」 「こちらこそ長々とすみません」 「いえいえ、話しを聞くのが仕事ですから構いませんよ。友人と食事されたと仰ってましたが仲直りされたんですね?」 「仲直りしたわけではありません。それに食事と言ってもたまたま通りかかった店の前に来ていたキッチンカーでカフェオレを買っただけなので」 女は小さく笑って言うと痒かったのか鼻の頭を指先でちょっと掻いた。 「信じるか信じないかはお任せします。カフェオレを買ってから並んでしばらく黙って歩いて、駅前まで来てようやく口を開いた友人は『じゃあ俺こっちだから』と言って駅のホームに歩いて行ったので、そこで私達は別れました。……夢の続きを話しても?」 「ぜひ」青年は頷き返した。 「友人の恋人の夢を見る前にもうひとつ不思議な夢を見ているんです。あまり思い出したくないのですが…」 「と、言うと?」 「…“悪夢”だったのかもしれません。とても恐ろしい夢を見てしまったんです。夢から覚めると全身汗でびっちゃりになるくらいの悪夢を」
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