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「……悪夢?」
高橋は佐藤を見て聞き返した。
「えぇ。以前 僕の事務所にお客さんがいらっしゃってね、その方が 知らない女性に首を絞められたと仰るんですよ」
「ただの夢だろ?」と椅子に座り直していた綾瀬が二個目のブルーベリーパンを食べながら言った。
「知らない女性ってどんな女性だったんですか?」
「黒い長い巻き髪に唇の左下にホクロがあったそうです」
「そんな奴いくらでも居らぁ」白川がタバコの煙をぷはぁと吐いた。
「ちょっと白川さんっ、煙たいんですけど!」けしょけしょ咳をしながら高橋は手で宙を振った。
「待て、唇の左下にほくろって…待て待て待てよ、それって…」
綾瀬は上着のポケットから手帳を取り出すと間に挟んでいた写真を出してみせた。「こいつの事か?」
「わおっ!きっとその方です!」写真を見て佐藤が笑顔でパチパチ手を叩いた。
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