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「僕の方で勝手に調べたのですが 以前 鳴子さんが仰っていた鳴子さんのご友人の彼は村上翔吾さんで間違いありませんよね?金融会社で働いている」
「はい、そうです。S銀行の社員をしてると言ってました。昔から面倒見が良くて優しい人です」
「村上ぃ?」まるで知ってるように 白川がじろっと鳴子の方を見た。
「な、なんですか?」突然睨まれたもんだから怖くなって 鳴子はビクッと肩を揺らした。
「お前 知り合いなん?」綾瀬が聞いた。
「いや、知り合いじゃない。ただ、その村上って奴の噂は聞いた事ある…。…会員制のクラブによく来ていた気前の良い客の一人で店で自分に寄って来た女なら誰でも持ち帰る奴が居るってな」
「そんな奴いくらでも居んだろ」
「ただ持ち帰るだけじゃねぇ、後始末がなってねぇ奴だって話しが絶えなくてな、関係を持った女の何人かは中絶させられたって話しだぜ。そんでうちの組の部下が何人か 恨みを持った女共に金で雇われて村上を追い回してはボコったって…」
「村上君はそんな人じゃありません!人違いですっ!だって…こんな仕事してる私にだって昔と変わらず親切にしてくれて…」
「それってあんたが“そういうお仕事”してるから可愛がってくれてただけなんじゃねぇの?つうかさぁ……あんた本当は村上と関係持ってたりすんじゃねぇのかい?」
「まさかそんなわけっ……」
鳴子はそこまで言うと口を閉ざして下を向いた。高橋以外の三人が やっぱりな と思って それで佐藤が気を遣って「コーヒー淹れ直しますね」と鳴子の分のカップを持って台所に歩いて行った。
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