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あれから何日か経って 高橋が佐藤宅の狭い庭に置かれた白いブランコにミケと一緒に座ってぼんやりしながらゆらゆら揺れていると「今日は爽やかな天気ですねぇ」と佐藤がにこやかに背伸びしながら外に出て来た。
相変わらず黒い服を着ている佐藤が水道の蛇口をひねってジョウロに水を入れてるのを見て「どうして?」と高橋が聞いた。
「えー?」佐藤は花壇に水やりしながら聞き返した。
「どうして あの時、今頃犯人が……里香が警察に捕まってるって分かったんですか?」
眞知子を殺害した犯人は里香だった。
琴森達 警察官の取り調べによって 自分達が同じ男を好きになってしまった事で 彼は自分の方が好きなんだ! と掴み合いになり 眞知子に馬乗りされ殺されそうになった瞬間 里香は咄嗟に側に転がっていたハサミを掴んでそれで眞知子を切り付けるとあまりの痛さで床に倒れた眞知子を何度も蹴ったり殴ったりして はっ とした時には眞知子は死んでしまっていたらしい。
そして眞知子の両親の方はと言うと会社が倒産させてしまった事で眞知子の父親の部下だった社員の中の一人に酷く恨まれ 白川達の組とはまた別の組を金で雇い 謝罪料を寄越せと 追い回させたせいで心身共に限界が達し二人で自殺した。
ならばいったい村上の婚約者を殺害したのは結局誰なのかと言うと 犯人は村上本人だったと言うのだから驚きだ。
「警察に知り合いが居ましてね、その方にお話ししておいたんですよ」
「そうだったんですか!…あぁ、だから捕まってる頃だって分かったんだ…」
高橋は納得して頷いた。
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