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「高校生?」
男は悪気なく聞いた。昔から変わらないねと周りから言われる童顔をしてるし身体だって出るところがさっぱり出てない薄っぺらい身体つきをしてるから高橋の見た目がそんな感じに見えたのだ。男は 純粋にそうなのだろう と思い込んで至って真面目に聞いたのだ。だがそれを知らない高橋はだんだん腹が立ってきて「大学生です!」と強く言い返した。
「何年生?」
「い、一年です!…今年から……」
「じゃあやっぱりまだ高校生じゃないですか」
「卒業式はとっくに終わりました!もう高校生じゃありません!」
「あのアパートにお母さんと住むの?」
「一人です!」
「え"っ、一人暮らし大丈夫?変な人に連れてかれんじゃない?お菓子あげるからって言われてもほいほいついてっちゃ駄目ですよ?あぁ、あと変な詐欺とか怪しいバイトに勧誘されたりとか…」
高橋は真っ赤になった。「大きなお世話です!忙しいので失礼します!」
どこまでも馬鹿にされ続けてついに怒りが頂点に達したのだ。高橋はカンカンしながら怒鳴り返すとアパートに向かって大股で歩いてってしまった。
「…もう……何なのよ、あの人…!失礼にも程があんでしょうが!!」
「あら怒っちゃってまぁ…どうしたんだろう?」
自分のせいとは全く気付いていない。佐藤は少し天然なところがある。怒ってドスドス帰ってってしまった高橋の後ろ姿を見ながら佐藤は不思議そうに首を傾げた。
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