3 きみにきいたはなし

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3 きみにきいたはなし

世界は 3柱の神さまによって創られました。 最初の神さまは まずこの世界に海をお創りになりました。 2柱目の神さまは この世界に空をお創りになりました。 最後の神さまは この世界に人々の暮らせるようにと大地をお創りになりました。 そして神さまたちは 今も尚私たちを見守っていて下さるのです。 「へぇ、おもしろいね」 「おもしろくない。皆誰でも1度は聞いたことのあるお伽話よ」 「でも僕には知らないことばかりでおもしろいよ」 僕は色々なことを忘れてしまって、知らなさすぎる。 だから色々カナリアに聞いた。 創成神話もその1つだ。 「海……そう言えば、カナリアの言っていた“海の魔女”って何なの?」 「……本当に無知って恐ろしいわ」 「僕は恐ろしくないよ」 「ともかく!」 僕は普通に話をしているだけなのに、カナリアの表情はくるくる変わる。 今も大きなため息を吐いて呆れたと思ったら、今度はすぐに怒りだす。 見ていて飽きない。 それになんだかんだと言いつつも、しっかり説明してくれるカナリアはやっぱり優しい。 「“海の魔女”って言うのは、さっき会ったあの人魚のヒトの通称よ」 「何で魔女なの?」 「詳しくは知らないけど、色々な魔法が使えるらしいの」 気に入らないヒトを海の泡に変えてしまったとか、 雨乞いしている村に雨を降らせて、村ごと水没させたとか、 井戸で水を汲んでいたら、井戸から魔女が這いずり出てきたとか、 嘘か本当かわからない、様々なウワサが沢山あるらしい。 その中でも1番有名なのが、“魔女が契約を持ちかけてくる”というものらしい。 「そんなに有名なら、僕たち以外にも契約したヒトっているんじゃないかな?」 「多分、いないと思う」 契約すると呪われるとか祟られるとか死んでしまうとか、はたまた死んでしまうというような何か良くないことが起こるというウワサもあるらしい。 「それにもし契約したヒトが居たとしても、他のヒトには言わないと思う」 「どうして?」 「だって恐れられたり、避けられたりしそうじゃない」 「えー何でそうなるの?」 「言ったでしょ、ヒトは自分と違うモノを恐れるからよ」 「じゃあ直接聞いてみようよ」 僕は閃いたとばかりに、勢いよく椅子から立ち上がった。 恐れられるのが怖いなら、僕たちなら大丈夫だ。 だって同じ契約を交わしたヒト同士なのだから。 「ねぇカナリア、一緒に街で探そうよ」 「私は……」 乗り気じゃないカナリアの腕を引いて立たせる。 「僕、街のこともわかんないから……案内も兼ねて一緒に来て欲しいなぁ」 カナリアの優しさにつけ込んで、結局僕たちは2人で街に行くことになった。
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