<31・守也。>

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「和葉さんの正体が、Regaliaの如月松葉さんだった、それは揺るぎようのない事実。だがしかし、松葉さんが男性だとはまだ確定していない、そうだろう!?」 「は、はい?で、でも公式見解では……」 「あのように美しく可憐な人が男であろうはずはない!そもそも誰も、あの人の裸を見たわけではないではないか。ならば、実は女性で、訳あって男装しているという可能性も十分あり得る。そうは思わんか、健真よ!」 「は、はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」  ちょっとまて。  どうしてそんな斜め上かッとんだ結論に向かってしまうのか。思わずひっくり返った声でツッコミを入れたものの、健真はまったくお構いなしの様子である。  さらにとんでもないことを言い始めた。 「俺の進路が決まったぞ。高校在学中からしっかり体を鍛え、資格試験の勉強をする!そして、俺も冒険者となり……Regaliaに入れてもらうのだ。そうすれば松葉さんの傍にいることができよう!」 「まって」 「何、確かに冒険者試験は厳しいと聞く!しかし俺はこの通り体格もあるし、腕力や身体能力にも自信はある。しっかりと鍛えてモンスターとも戦えるくらいの体を作れば、きっと合格も夢ではないはず。そうは思わんか健真よ!」 「ねえまって」 「松葉さんが男性かもしれないと聞いた時はさすがにショックで熱を出したが、今はもう大丈夫。もう一つの可能性に気付けて本当に良かった。そうだ、普段の松葉さんの恰好が男装である可能性もあると何故わからなかったのか……!世の中、ボーイッシュな女性などいくらでもいる。声が低い女性も珍しいものではない。否、頑張って低い声を出しているだけかもしれん……!なんにせよ、Regaliaの一員ともなれば、合法的にあの人の傍にいることもできる、そうであろう!?」 「まってってば」 「ストーカーのようなものになってはいけないが、役立てる相棒というのならば全然問題はあるまい、倫理的にもオールおっけいである!ということで、俺は今日から冒険者試験の勉強をするぞ!応援してくれるよな、健真!」 「待てと言っとろうにいいいいいいいいいいい!!」  ああ、駄目だこいつ。健真は頭を抱えるしかなかった。  如月松葉。彼はどうやら大変なものを奪っていってしまったらしい。 「あああああああああもう、どうすんのコレェ!?」
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