<2・洞窟。>

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<2・洞窟。>

 松葉と守也の二人は、舞に丁寧に説明してくれた。  異星人が侵略してくるとか、ダンジョンが本当に異星人の仕業かどうか――に関してはまだ解明されていないことだらけなのだという。  確かなことは、ダンジョンがいつ、どこに発生するかは誰にもわからないということ。始まりの塔のような大規模なものから、小規模なプチダンジョンまで様々存在するようだ。そして、中には何も知らない一般人が知らず知らずに近づいてしまい、痛い目を見ることもあるという。 「始まりの塔に入ったのは、某大国の軍人だった。それも、最前線で働くバリバリの実働部隊だ」  渋い顔で守也が言う。 「が、そいつらが当初一人も帰ってこなかったんだ。がっつり重火器持っていて、危険な戦闘にも慣れっこだった連中がだぜ?もしそんな場所に、何も知らない民間人が入り込んじまったらどうなる?」 「そ、即終了ですね……」 「だろ?しかも、ダンジョンの中には“入らなきゃ安全”なんてものばかりでもねえ。例えば十年くらい前に中国の山中に出現した“しじまの洞窟”なんかもいい例だな。結構派手なニュースにもなったし、お前さんも知ってるんじゃねえか?」 「まあ、名前くらいは……」  自分がまだ高校生の時に報道された話だ。うっすらぼんやり程度の記憶はある。確か、有名な登山スポット近くに突然洞窟が出現した、のではなかっただろうか。  それは、人間が一人入れる程度の小さな洞窟のように見えた。  しかし中を覗きこむと真っ暗で、道は下へ下へと緩い下り坂になっているのがわかる。明かりを照らせど、入口からでは何も確認することができない。  見つけたのはとある登山客だった。その洞窟を覗き込んだ一人が突然こんなことを言い出したという。 『この奥にお宝があるに違いねえ!取って来よう!』  何故そう思ったのか。何故そんな風に感じたのか。それは何もわからなかった。 確かなことは。お宝があると言って中に入った登山客が、案の定戻ってこなかったということである。 「そうそう、大体そんな感じやね」  ぱちぱちぱち、と松葉が手を叩いて言う。 「調査の結果、このダンジョンの洞窟を覗き込むとな、そんな思想を刷り込まれるらしいことがわかってん」 「中にお宝があるから入らなきゃ、ですか?」 「その通り。覗き込んだ人間は、中に入りたなってしゃーない気持ちになってまう。例外はない。中国の兵隊さんらが確認しにいったんやけど、無事に戻ってきたのは全盲のお人だけだやったって話や」 「あれ?複数人戻ってきたって言ってたような……」 「ああ、そりゃ正確には“二人”が生還しとるで?全盲のお人が、強引に中に入りたがる女性兵士を引きずって戻ってきたんや。その結果、洞窟の中を覗き込んだ女性も帰ってはきた。……完全に正気を失っとったみたいやけどな」
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