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それは
通販だ。
ヤ〇トの人に呆れられるんじゃないかと思っても自分が止められない。
欲しいものも思いつかないのに通販サイトを探し回っている。
ピローン♪
メールの着信音が鳴って沙穂は光の速さでテーブルに置いてあったスマホを手に取り確認した。
社食で一緒に昼食を取っていた同期の遥香がニヤニヤして聞く。
「何?彼氏?今日ずっとそわそわしてると思ったら」
「彼氏できてないよ。これは出荷メール」
「また何か買ったの?先週も買ってなかった?」
え…?
1週間も我慢したのに、もしかしてそれでもやりすぎ?
「モバイルバッテリーやっぱ欲しいなあって」
「そんなの近所で今買えるじゃん。通販じゃ届くまで待たなきゃいけないんでしょ?」
「ソーラー充電のやつなの!あと他にはない機能がいっぱいあってね」
「駅前のヨ〇バシにはないの?」
「知らない。見に行ってない」
普通の買い物なんか毎日してるのに通販を毎日したらいけないのかな。
宅配屋さんだって仕事が多い方がいいでしょ。いいよね。
でももう今月中はやめよう。月3回までとか決めておかないと。
遥香の興味はクルクル変わる。
「話変わるけどさ、通訳に騙されたあの人かわいそうだよねえ」
「テレビショッピングで翻訳機の紹介してたけどああいうの使えばよかったのにね。翻訳機って今どんぐらい使えるんだろう?」
「ねえ買わないよね?」
「えっ…うーん」
「あんたそれ使う?」
「使わないけどぉ
欲しいなあ」
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