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「いらっしゃいませ~。莉玖君。元気だった?」
「はい。あの、今日は……」
「聞いてるよ。凪彩君だよね?じゃあ、2人共どうぞ」
店長さんは、凪彩と隣同士に座らせてくれた
「凪彩君は初めてだから、今日は僕、凪彩君の方担当するね?」
「はい。お願いします。凪彩君、店長さん色々細かい要望に答えてくれるから。前髪はこの位とか、横はこうとか、全部希望言って大丈夫だよ」
「ははっ。小さな頃から知ってる莉玖君が、お兄さんみたいになってる姿を見るのは、なんか感慨深いなぁ」
「えっ?そ……そう…見えますか?」
「うん。凄くいいお兄さんに見えるよ。さてと、凪彩君、色々聞いてくね?」
「はい」
なんか……小さい頃から知ってる人に、そんな風に言われると、照れる……
「ありがとうございました」
美容室を出て2人で歩く
凪彩は、前髪こそ少し長めだが、横も後ろもスッキリとカットされていた
「いい感じじゃん。すげぇ、スッキリ!」
「はい。ありがとうございます」
「……あのさ、これから長い付き合いになるだろうし、凪彩って呼んでもいい?」
「……………はい」
え?
なんか、今、間が………
「あっ……と、嫌だったら、凪彩君のままでいいんだ。ごめん、急に。まだ慣れないよな?」
「……いえ。莉玖さんの好きなように呼んで下さい」
好きなようにって……
なんか……
「とりあえず、莉玖さんから、莉玖君に変えてもらえるかな?なんか、聞き慣れなくて……」
「分かりました。莉玖君と呼びます」
なんか……
なんか、なんか、なんか~~!!
「蒼渚!あいつは!俺達と仲良くなってどうする?って思ってる…と思う!」
「………一緒に美容室行ったんじゃなかったのか?」
「行った!美容室の店長さんだって気を遣ってくれたし。すげぇ、いい感じにしてくれたんだよ!で、帰り道で、いい感じじゃんって褒めてさ、もう少し距離縮められたらなと思って、凪彩って呼んでいいかって聞いたら、微妙~な間の後、はい。って……。だから、嫌だったらいいよ、まだ慣れないよな?って言ったら、好きなように呼んで下さいって……。好きなようにって……なんかさ……なんか、全てが感情こもってないって言うか、どうでもいいって感じなんだよ!」
「はぁ……。莉玖見てると、先住猫と新米子猫見てるみたいな気持ちになってくるわ」
「なんだ?それ?俺が先住猫か?」
「逆だよ。凪彩君の学校はいつから?」
「逆?今日からって言ってたけど?」
「道、分かるのか?」
「朝は母さん付いてくって言ってたし、中学なんて徒歩圏内だし、携帯持ってんだから、大丈夫だろ」
「そう?」
「蒼渚、意外と心配性だったんだな?」
「……そうかもな」
なんとなく、機嫌悪いか?
長年付き合ってても、蒼渚の微妙な機嫌の悪さを察知するのは難しい
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