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「怒ってんすか? 笑ってんすか?」
「怒っても、笑ってもねーよ」
悪天候の中、荒れ狂う海を眺めている男が
ハンドルから手を離すとエンジンを切った。
かつては白かったであろ薄汚れたバンが
荒廃した国道の脇で強風に煽られ揺れている。
助手席の男がパーマがかかった毛先を指先に絡めながら何か考えている。
「流空兄、合ってるみたい」
流空兄と呼ばれた男の冷めた表情を気にする事もなく
パーマが可愛いマニという名の男がスマホで情報を見て言った。
それを聞いて
「やっぱ、ここか・・」
冷めた顔のまま流空は呟いた。
「流空兄、、しっ・・」
「?」
ぐうう・・
お腹の音を響かせたマニはイタズラっぽく笑うと
「お腹、空いちゃった」
それを聞いた流空はマニの頭をくしゃくしゃっと撫でると
息が止まりそうなほどの優しい笑顔で微笑んだ。
「飯、行くか」
「うん!」
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