どうかその光だけは、消えないで

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*** 「お願い、聞いてくれてありがとね!」 「あの状況で断れる訳ないだろ」  屋台の喧騒を逃れ、僕達は再び『例の場所』に戻って来た。  ――――彼女の『お願い』を、叶えるために。 「…………最初からこれが狙いだった、のか?」 「まっさかぁ。…………もともと、今年が最後だったんだ」 「最後?」 「うん、自分でわかるの、なんとなく」 「……まぁ、どっちでもいいさ。――――ほら、ポーズ決めたか?」 「もちろん! どろどろどろ~」 「……ごめん、それ以外で」 「え~~~」  ――――長時間露光。  それは、暗闇からどうにかして光を集め、そこに『確かに在る』ものを映し出す技。 「動くなよーーー!! 絶対に、動くなよーーー!!!」 「えー、それってフリですかぁ?」 「消えたってしーらね!」 「うそうそ。ピース!」 「ハイ、チーーーーズ!」  カ…………シャ!
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