どうかその光だけは、消えないで

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*** 「金魚すくいの極意、それはズバリ――『営業妨害』!」 「……っけ」  少女にビシッと指を差された金魚は、特に反応も無くビニール袋の中を泳いでいる。……くそ、何やってんだ、僕。  アミ入れの角度、標的の大きさ、水につける時間、その全てが計算されつくした完璧なプレイングだった。  だけど何度水を潜らせようと、金魚を容器へ運ぶ前に破れてしまう。  やっているうちにどんどん熱を帯びる僕とは対照的に、周囲の反応は冷ややかだった、そうだ。……僕は覚えていないけど。  客の波が引いて行くのを感じた店主は『一匹くれてやるから、もう勘弁してくれ』と手早くビニール袋に金魚を入れて僕に渡してきた。 「有言実行! さっそく出禁第一号だね~」 「あのアミが悪いあれに仕掛けがあるんだたぶん最初からやや湿らせて強度を下げていたかあるいは……」 「反省は後! ほら、次は何する?」 「次……」  ――っと、いかんいかん! ここで僕が士気を下げてどうする!  この計画の肝は、いかに彼女を屋台の沼に沈めてその隙に夜桜を撮るか、だった。  かなりタイムロスしてしまったが、まだまだリカバリーは可能。 「そうだな、次は――」
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