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『え?嘘ッ!どこに?』
『だから、あんたが言ってた場所によ。それよりあんた、どこにいるの?私、もう役場の中に入ったけど?』
『だから、隣接してる体育館だってば!』
母はしばらく無言になった。
『……体育館、取り壊し中って張り紙がしてあるわよ』
『え?』
私は母の言葉に血の気が引いた。
だったら、私は今、一体どこにいるの?
『老朽化に伴い、体育館と体育館側の駐車場は取り壊して建て直すみたいよ』
母の言葉が信じられなかったが、それなら私はなぜ体育館にいるのか意味がわからない。
ここは現実世界じゃないのかと恐怖で涙まで出て来た。
『お母さん!助けて!私、私!』
ブツっと電話が切れた。
私は慌てて掛け直すがスマホは何も応答しない。
「嘘。じゃあ、ここはどこ?」
真っ黒な画面の様に、私の目の前は真っ暗になった。
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