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あたしの彼氏、スバルは変だ。
今日も、デートの時、頭に大きな風船をつけて来た。
スバルは、もう28才で、いい大人なのに、、。
普通なら驚くところだが、あたしは、もうこの変人ぶりに慣れてしまった。
「、、今日は風船なのね」
「ああ、風船と一緒に、ロシアまで飛んで行って、戦争反対を叫んで来ようと思って」
スバルは、冗談は言わない。
いつも、真面目に思っていることを、言う。
だが、街中の風船男は、やはり、目立つ。
また、お巡りさんから、いつもの職務質問を受けた。
もう、あたしも慣れているし、お巡りさんも、スバルのことを、知っている。
でも、そのお巡りさんが言った。
「スバルさん、いい加減、公園に布団をひいて寝るのは、止めてください」
「え? だって、星が綺麗だから、星を見ながら寝たくて」
スバルは、当然のように答えた。
スバルにとって、この世界は、自分の庭である。
昼食に入ったラーメン屋で、スバルは、塩ラーメンを頼んだ。
そして、一口食べて、言った。
「塩が足りないな。オヤジさん、ちょいと、失礼するぜ」
スバルは、厨房に勝手に入ると、ビックリしているラーメン屋の店主に構わず、塩を探して、ラーメンに振った。
また、夕食に入ったモスバーガーでは、モスバーガーを食べ終わった後、店員の女の子の手を握って言った。
「いやあ、モスバーガーは旨い! おねーさん、モスバーガーで、働くなんて、素晴らしいよ!」
だが、モスバーガーの前に停めていた自転車を、盗まれていた。
しかし、スバルは、頷きながら言った。
「誰かが、オレの自転車を必要としてたんだな。うん。ここに置いといて、いいことをした」
、、、スバルは、自由だ。
スバルにとって、自転車を盗む他人も、家族同然なのだ。
あたしは、今まで、呆れていたが、あらためて、思った、、。
もしかして、スバルは、すごい人間なのではないか、と。
自由人、スバル。
恐るべし!
end
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