君が好きだった。

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俺は、人見知りが激しくて、幼稚園でも一人でポツンとなることが多かった。だからといって、誰とも遊んでないという訳ではなく、子供ながらに無難に過ごしていた。 曜は、俺とは真逆で、人当たりがとにかく良かった。いつでもニコニコして、誰にでも話しかけ、みんなの輪の中心にいた。それを妬ましく思ったこともあった。 ある日、曜が隣の組の男の子と喧嘩になり、親が謝罪するような事態になったことがあった。 原因は、親を馬鹿にされたからだった。 曜の両親は医療従事者で、とても忙しく、お祖母さんが迎えに来る日も多かった。それを悪く言われたらしい。悔しそうに泣きじゃくる曜を、今でも覚えてる。 それを耳にした俺の親が、時々曜も一緒に降園して、曜の親が帰宅するまで、家で一緒に過ごすようになった。 実は、家が徒歩3分くらいのご近所さんだと知った。 小学校に入学して間もなく、俺の住むマンションの隣の部屋に美也子が引っ越してきた。 美也子が家族で挨拶に来た日。 「よ、よろしくお願いしましゅ。」と、緊張しすぎて噛んだのが可愛くて、この時にはもう恋に落ちていたのかもしれない。 俺と曜と美也子は、三人で遊ぶのが当たり前のようになっていた。 中学に進学して、関係に変化が現れた。 俺はどこにでもいそうな平凡な姿形だったけど、曜は地毛が少し茶色っぽく、猫っ毛でフワフワしていて、同じくらいだった身長も160cm以上になり、持ち前の人当たりの良さで学校の人気者になっていた。 美也子も、少し幼さを残した笑顔と、くりくりとした大きな目に、黒髪ストレートで綺麗になっていて、男子の間では憧れの存在になっていた。 俺は、綺麗になった美也子にドキドキして、自然と目で追うようになっていた。 そして、美也子が曜を目で追っていることに気付いてしまった。 高校が別れると知った日。 「徹、曜くんって好きな人がいるのかな?」 (やっぱりか・・・。) 「知らない。自分で聞けよ。」 「教えてくれてもいいじゃない。ケチ!」 ほどなくして二人は交際を始め、俺は失恋し、何もしなかった自分の不甲斐なさに涙を流した。 曜と同じ高校でなくて良かった。放課後も別々で過ごすようになっていたし、二人が一緒にいるところを見なくてすむ。それだけが救いだった。 二年に上がる頃、やっと気持ちの整理が出来てきた。 それは、俺に・・・。 (あれ?俺に何か・・・。何だっけ。) とにかく、曜と美也子が二人でいるところを見て、苦しくて仕方がないような気持ちにはならなくなっていた。 のに。 「曜が本当に浮気をしてたら、美也子はどうするつもりなんだろう。」
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