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エピソード6.大好き
桐谷が復活して数日後、案の定私は体調を崩した。
「…ほれほれ…。お粥でちゅよ…!フゥフゥしてあげるから、あーんして…」
桐谷が私の花柄エプロンをして、温めたお粥を口に運ぼうとする。
その姿がおかしくて…
「…もう!自分で食べるからいいよっ」
と言ったのに、おかんのように首を横に振る。
「ダメ…!ちゃんとお粥食べて薬を飲んで、眠ったのを確認してからじゃないと心配で眠れないから…!」
「心配性…」と言いかけて、急にゴホゴホ咳が出る。
「…ほら。俺、ここで寝ようかな?」
「ぶり返すからダメだよ」
すると突然私の隣にぴったり座って言った。
「辛かったらまた…キスするよ…。こないだより、もう少し激しいやつ…」
「移しっこは1回だけ!」
何だか桐谷との間がどんどん甘くなってる気がする。
まだお付き合いにオッケーしたわけじゃないんだけど…。
男嫌いで、キスやセックスは無理かもしれないと思っていたのに、桐谷が軽々飛び越えてくるら、軽いキスはできると知った。
そして、熱を出した桐谷とベッドで抱き合ったとき、桐谷の男の部分をしっかり感じてどうだっかと言うと…。
やっぱり…恐怖があった。
あのときは桐谷が理性を失わないでくれたから良かったけど…。
撫でる手が止まらなかったら、怖くて叫び出していたかもしれない。
それは、桐谷に対する嫌悪とかではなくて、ただ…男の性に対する恐怖。
桐谷を好きだという気持ちは確実に大きくなっていくのに、お付き合いをオッケーできないのはそんなところが理由だった。
「…とりあえず寝よ…」
桐谷に飲ませてもらった薬が効いてきたのか…フワッと眠気が押し寄せてきた。
………………………
桐谷が帰って少し眠ると、携帯がメッセージの着信を知らせた。
ブルブル鳴るバイブの音で目を覚ました私は、とっさに携帯を手にして、時間を確認した。
時計は22時少し前。
誰からだろうとメッセージを開くと……
「んー…?…珍しい人からメッセージが来たなぁ…」
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