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エピソード12.桐谷の部屋
「お邪魔…します」
結局どうしても離れたくないと言う桐谷に押され、翌日から私は、身のまわりの荷物をトランクルームから出して、桐谷の部屋に行った。
何度も足を踏み入れてるのに…なんか緊張する…!
桐谷のスーツがかかってるクローゼットに、私の仕事用の服を入れさせてもらおうと開けると、ふわっとオリエンタルな香りが鼻腔をくすぐる…。
この香りが、私の服にも移っていくのかな…。
「…わっ!ビックリした…!」
…振り返ると桐谷が真後ろに立っていたので、驚いて声をあげてしまう。
「…ごめん。あの…やっぱりまだ俺のこと怖い?」
すぐ近くにあるベッドに座って、立ってる私を見上げて言うので私も隣に座って言った。
「ちゃんと桐谷だってわかってれば、怖くない。でも怒られたら怖いかも」
「…俺が怒られることはあっても、楓さんに怒ることはない。ヤキモチ妬いて盛大に拗ねることはあるだろうけど」
…見つめる目が甘い…。
ヤバ。こんなムード、まだ慣れなくてテレるわー…!
ふと目をそらして、つい下を向いてしまう。
まだ桐谷の目が私に注がれているのを感じる。
「なに…?」
「…今抱きしめたら、止まれなくなりそうだな…って思って」
「…え?」
「…俺は、最後までできなくても、楓さんに触れたい。それから…」
言いたいことがありそうだからと、そのままじっと桐谷を見つめた。
「楓さんを…イカせたい。俺の手と口で」
そんなエロいこと、トロン…とした目で言うなんて、犯罪レベル…!
「…でも、そんなことして、桐谷は…」
「俺の快感なんてどうでもいいから。俺が望むのは、楓さんを気持ちよくしたい。…イッた顔を見たい」
かぁ…っと赤くなっていく桐谷、そして私も。
きっと勇気を出して言ってくれたんだと思う。
内容はスケベだけど、すごく愛のあること。
「…だったら…私の本音も聞いてくれる?」
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