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祝福を
幸運にも出迎えてくれたのは、僕の大切な彼女だった。
「ど、どうしたの鈴木君…。」
長内さんは、突然の僕の訪問に心底驚いていた。
「お、長内さん…。」
「鈴木君っ!血っ、血がっ、」
え?
気づかなかったが、道中どこかで太ももを切っていたらしく膝下あたりまでズボンに血が滲んでいた。
「待って長内さん、大丈夫だから。これだけ言わせて…いや聞かせて…!」
…………。
「長内さん……、もしかして君の旧姓って………大崎じゃない?」
ちゃんと言えた。途中、喉が乾いて咳き込みそうになった。
彼女は……。
ああ、この笑顔だ。この笑顔が僕は、たまらく好きなんだ。
彼女は笑顔で言った。
「はい。大崎美香です。」
そして、深々と頭を下げてこう続けた。
「あの時は、私の命を救って頂き有難うございました。」
ここまで来たら聞かずにはいられない。
「じゃ、じぁ、長内さんのファーストキスの相手って!」
彼女は、俯いたまま黙って人差し指を僕へ向けた。
___。
なぜ彼女があの事をずっと言わないでいたのかは、今でも分からない。
でも、一つ分かった事がある。
4月1日に告白なんてするもんじゃないよ。
でも、人生で二度目のファーストキスは悪くない。
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