3、魔を喰らう

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3、魔を喰らう

実果が転入してきた初日、僕は実果に「帰りは一緒に帰ろうよ。」と誘った。 実果は驚いたような顔をした。周りの女子も同じ顔をしていたな。 僕は頭がいい、ツラも悪くない、背も高い、でも存在感がない。殆ど何も話さないに徹してきたから、まぁ驚くのも当然だ。今は、驚いているけど、僕が本当の僕を晒したら、女達の態度も変わる。向こうから寄ってくる。 分かりやすい。反吐が出るほど分かりやすい。 男は見栄えが良くて、背は高ければ高いほうがいい。そして、頭がいいのは最強だ。どんな職業にだってつける。それは、札束に見えるんだろうよ。生涯に渡って、どれだけの搾取ができるか頭の中で電卓叩いてるのが女だ。テメェの持ち物を考えてみろや。年々、需要が無くなっていく顔と身体。やばいよ。大したツラしてないのにメイクして学校にきてさ、少しは勉強しろよ。そしたら、何とかなるかもな。 テメェらが何を考えているのかなんてお見通しなんだよ。選ぶのは(こっち)だ。分かってんのか?分かってねぇだろうな。 18じゃわからねぇ。28なら分かる。ほぼ手遅れだけどな。 女子達(テメェら)が妄想してる理由なしで好かれるなんて無いから。CEOとか御曹司とか大富豪の令息とか居ないから。住む世界が違うから。そういう人は居るよ。居るけどさ、お前らなんか最初から人間だって認識もしてもらえないんだよ。 上手い話は嘘と詐欺しかない。引っかからないように気をつけろよ。 俺にとって実果は特別なんだ。実果は、ずっとずっと探していた相手なんだ。 実果のためなら将来を変えることも厭わない。元々うちの親は、俺の頭の良さを分かっていて進路を考え直したらどうかと言っている。 多分、そうなるだろう。この時点で実果に会えて良かった。来年じゃぁダメだった。 僕は実果ちゃんと2人で校門を出た。実果ちゃんは、ずっと黙っていた。実果ちゃんの家は山を一つ超えた向こうだという。僕は自転車を押して、2人で歩いた。 「あのね。田中くん。どうして今日初めて会ったのに、送ってくれるなんて言ったの。」 「うん。どうしてだろう。どうしてもそうしなくちゃいけないって感じたんだ。」 「どうしてもって、何?なんかキモいよ。」 「ふ。。。気持ち悪い?じゃ、気持ちいいことしようよ。実果ちゃんは、そういうの平気でしょ?」と翔太は言うとガシャンという音を立てて自転車から手を離した。 そのまま、実果の腕を掴んで、山奥の茂みに入った。 「やろうよ。ふふふ。。。。」 「あんた、頭おかしい!やめてよ!」 「おかしくねぇよ。まともだから、実果を選んだ。今日から実果は俺の彼女。」 「実果は、こういうの好きだろう?青姦で余計萌えるんじゃない?」 翔太は、全くの別人の様に変容していた。もちろん、別人じゃない。本体が出てきただけだ。本性ともいう本体が出てきたのだ。 翔太は、実果に馬乗りになって手慣れた手つきで制服のジャケット、ブラウスを脱がせた。 暴れて抵抗している実果に翔太は言った。 「お前は、そんな女じゃない。お高く見せるための演技はやめろ。散々、遊んできたんだろう?そうじゃなければ、俺が知っていた女とは別人だ。ここで止められたら、そっちのプライドが傷つくんじゃね?」 実果は翔太を睨むと抵抗はやめた。 「素直が1番。さぁ、やろうぜ。」 実果は一見、大人しそうなこの男の変貌っぷりに驚いていた。 実果は同類だった。「いいや、もう、遊ぼう。」と思った。 「実果さ、ゴム持ってるだろ。持ってるはずだ。孕みたくなかったら寄越せよ。」 「持ってるよ。」と美香は言うと鞄のポーチからコンドームを出した。翔太はポーチごと引ったくった。 「何回しようか?3回?ん?足腰立たなくなるまでやってやるから。嬉しいだろ。最近ご無沙汰だったんじゃねぇの?」 翔太の表情(かお)は怖くて魅力的だった。 翔太とのセックスは、実果が今まで相手にしてきたどの男より実果の欲望を満たしてくれた。 こいつ、何人の女とヤッてきたんだ?実果は翔太の底知れぬ何かを感じ取っていた。 実果の耳元で翔太が囁く。「感じてるフリをしたら殺す。」「演技は許さない。」言いながら腰を打ち付ける。その凄みは実果を狂わせる。言葉責めも巧みで百戦錬磨の実果でさえ翻弄された。 立て続けに3回して、少し休んで4回目をして5回目もした。 流石に実果は呆けた様になってしまった。 2人とも服を着始めた。翔太が言った。「あのさ、付き合うって言っても浮気?してもいいから。」 「は?」と実果が驚くと、翔太は「俺、他の女とも遊ぶから。」と平気で答えた。 「でも、彼女は実果だから。そこんとこ宜しく。」 実果にとって、こんな男は初めてだった。男は独占欲が強くて、自分は浮気しても彼女が浮気すると烈火の如く怒る。それが当たり前だと思っていた。でも、翔太は浮気していいと言う。自分も遊ぶと言う……そうだよね。こんなの遊びだよと実果も思っていた。 ピルをもらってこようと密かに決めていた。翔太にだけ中出しをさせよう。それが彼女の印だ。この辺の女なら病気持ちはいないだろう。 そこまで計算していた。
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