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まぁまぁ知的レベルが高い男子生徒が女の噂をしていた。そういう時、俺は耳ダンボになる。
1年生に超絶可愛い清楚系が居るらしい。1組?亜衣と同じクラスじゃんか。これは縁があるのかも知れない。
家に帰って亜衣に尋問した。亜衣は茶の間で寝転がってスマホを見ていた。
「志のぶちゃん、亜衣のクラスの子だろ?どんな感じ?」
亜衣は俺の言葉を聞くと分かり易く嫌な顔をした。寝転がっていたのがガバッと起き上がった。
「はぁ?なによ!一年生まで開拓する気?私、噂で知ってるんだからね。気持ち悪い。やめて。実果がいるのに何で他の子に目が行くのよ。」
「実果ちゃんは、ガールフレンド。あくまでもフレンドだよ。僕が探しているのは本当の彼女候補。紹介してよ。」
亜衣は、兄はもう信用できないと思っていた。でも、志のぶは、あの顔で雰囲気とは真逆の内面を持つ。強い。
「紹介だけしてあげる。紹介だけね。」と亜衣は答えた。
昼休みに亜衣のクラス。1年1組の前の廊下で、亜衣は志のぶちゃんと俺を合わせてくれた。
立花志のぶは、本当に綺麗で清楚な子だった。スカート丈も長い。髪をポニーテールに縛っていて、これは亜衣と同じだ。
「志のぶ、これが私の兄ちゃん。噂通りの奴だから、付き合ってやってよ。」
おお。。。亜衣、ここで応援してくれるのかと俺は可愛い妹に感謝した。そして、志のぶの目をじっと見て言った。
「亜衣の兄の田中翔太です。」
「はい。よろしく。」
気のせいだろうか。なんか素っ気ない。「それじゃ、また。」と言って志のぶは教室の中に戻ってしまった。
俺は亜衣に訊いた。「あんな性格なの?」
「そうだよ。兄ちゃんなんかに絶対引っかからないタイプだよ。諦めな。ああいう子は兄ちゃんじゃ太刀打ちできないから。」
そう言われると執着するのが人間だ。翔太はコリもせずに下校する志のぶに纏わりついた。
う〜ん。実果の時の手を使っちゃおうかな。でも、この子真面目だから泣くよな。などと悶々としていた。でも、志のぶの肩に翔太は手を回した。その瞬間、志のぶは「自己確立!自他共楽!拳禅一如!」と凛とした声で言い翔太の手を払った。
開足中段構から上段振り子突を二手、蹴りを一手入れてきた。全て寸止めである。志のぶはスカートの下に半ズボンを履いていた。
翔太は腰を抜かした。
「御免なさい。」だけ言うと翔太は走って家に帰った。
茶の間でスマホを見ていた亜衣に「志のぶちゃんって少林寺の友達?」と訊いた。
「うん。先生の娘。凄いよ。段持ち。私なんかよりずっと強いし、少林寺の思想を体現して生きてる。」
僕は喧嘩が弱い。したことないけど多分弱い。それが分かってるから喧嘩が強い人と一緒にはいられない。亜衣もどこまで怒ったら手を出してくるのか、考えただけで怖い。
勉強にしろ、喧嘩にしろ同じ世界の人としか付き合えない。
結局、ギラついたメスと遊んでる。あくまでも遊び。
実果は実果で開拓に忙しいようだ。実果は面倒臭くない。
「アイシテイル」なんて死んでも言わないタマだ。そこが気に入っている。
くだらない。愛しているとかいないとか、その言葉に何の意味がある。何の意味もない。あるのは起きている事象。つまりは事実だけだ。
ヤリたい男ほど、その言葉を垂れ流しにするんだ。そんなことも見抜けない奴らは本当のバカだ。
バカは搾取される。そもそも脳内で電卓叩いてる女共なんて誰も本気で相手をしない。電卓叩いてる奴より「特別なもの」を持っている女が強い。だから、俺は言ったろう?勉強しろって。
どんなに美人でも時間には逆らえない。
今は値打ちがあると思っている若さや美貌は時間と共に償却される。20年も持たない。
その後はなにが残る?
俺は開拓しながら、あの女達に教えてやっているつもりだ。
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