後藤 翔⑨

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後藤 翔⑨

 カメラは室内を映している、ピンクを基調としたケバケバしい装飾に部屋の半分以上を占めている巨大なベッド。申しわけ程度に備え付けられたテーブルとソファ、部屋の隅には何故かパチスロ機が一台。お邪魔した事はないがラブホテルである事は一目瞭然だが、ふと疑問がよぎる。怪しい風体の外国人二人に気絶した女子高生、ラブホテルの受付に怪しく思われないのだろうか。むろん、警察に通報されてお縄になっていれば、この編集動画が送られてくる事はなく、奴らも塀の中にぶち込まれている所だ。そんな瑣末な疑問はすぐに次のテロップが解消してくれた。   〈ワンルームガレージ型ラブホテルに拉致成功〉    はて、聞き慣れない名前に一旦動画を止める、分からないことをスルーして次に進めないタイプだ。検索画面に切り替えて『ワンルームガレージ型ラブホテル』と打ち込みエンターキーをタンッと叩く。    ※一部屋に一つガレージがあり、車を止めたお部屋に入るというシステムです。ほとんどが、一階にガレージ、ニ階がお部屋になっています。車で直接入るのでお部屋のパネルなどはありませんが、空室のお部屋は車庫看板で空室のランプが点灯していますので料金などを確認して、お部屋を選びます。ガレージに車を止めるとセンサーが感知して、お部屋の鍵が開きますので、そのまま入室します――。  なるほど、支払いは部屋にある精算機で支払うタイプなので誰にも会わずに出入りできるし、運営側も人件費の節約になる。画期的なシステムだが土地代の高い都心では採算が取れないだろう。俺はこの場所がどの辺か大体のあたりを付けた。  橋本瑠璃菜はベッドの真ん中で仰向けに横たわっていた。万歳の姿勢で、右手と左手はそれぞれ頭上のヘッドボードに手錠の様なもので繋がれていて、口にはガムテープが貼られている。カメラは舐めるように爪先から太もも、胸から顔を撮影している。彼女はまだ目覚める事なく両目を閉じているが、陶器のように透き通った肌が美しく照明を反射していた。俺は生唾を飲み込んで、食い入るように画面を見つめる。  しかし、そこからは意外にも淡白だった。あまり時間をかけたくなかったのだろう。帰りが遅くなれば捜索願が出されるかも知れない。警察の介入は避けるに越したことはない。目出し帽の男、おそらくルースが橋本瑠璃菜の短いスカートに、両手を入れてあっという間に白いパンティを剥ぎ取った。さらに哺乳瓶のようなプラスチック製の入れ物を手に取ると、透明な液体を彼女の性器に垂らしてく、おそらくローションだろう。そこまでされても橋本瑠璃菜は目を覚さない。大丈夫か? まさか死んでいるなんて事はないだろうな。まあ別に良いけど。  ルースがカメラに向かって小道具を見せつける。その際に、国民的人気アニメの猫型ロボットが、秘密道具を取り出す時の効果音を付けるあたり、流石の仕事ぶりだ。 『いーちーじーくーかーんーちょー』  その名の由来通り、イチジクの形をしたそれをルースは手に持っている。なるほど、それで排便を促すのだなと感心する。異国の地にも似たような物があるのだろうか、そんな事を考えていると、ルースは橋本瑠璃菜の足を持ち上げてサクッと浣腸を尻に突き刺した。  その瞬間、彼女の体がビクンッと反応して、足をジタバタさせながら暴れ出した。何か叫んでいるが、口をガムテープで塞がれているために、くぐもった声しか聞こえてこない。ルースが足を押さえつけて中身を注入していく。橋本瑠璃菜はしばらく暴れていたが、十分ほどで力尽き、その場に排便した。   〈この映像はフィクションです〉    最後のテロップが流れて動画は終わった。我慢の限界だった俺は映像を戻してズボンを下げ、橋本瑠璃菜をオカズにオナニーをした。そう、小学生の時にあのデブがそうしたように――。
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