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発光体を投げつけられるような朝の目覚め。舞台のグランドフィナーレのスポットライトみたいで、眩しくて懐かしい。
強い日差しにサマータイム、やたらと明るいダッドの故郷。
学校への通学路で見かける日に日に腐っていくカモメすら、光る日常に溶け込む。オゾンホールのある南極大陸に近いからだと聞くけれど、ダッドやダッドの家の大きな家具と同じで、未だ慣れない。
「テイッ!」
帝人と呼ぶばれなくなり、随分と経つ。
March2020、世界中がロックダウンした。
それ以来もう三年近く、マムと会えていない。
そして舞台で踊っていない。
マムといた生まれ育ったニューヨークでは、よくわからない衣装の端役だったりしたけれど、いつも舞台が側にあった。
でもCOVID-19への不安から、店に街にものがなくなっていくのを目の当たりにしたマムが、ニュージーランドでラグビーのコーチをしているダッドのところへ行くよう僕に告げた。
「マムも仕事を片付けて、追いかけるから」
ダッドとマムは仕事の都合で離れていたけれど、これからは家族一緒に暮らすのだと、少し楽しみにしていた。
でも、そのあとすぐニューヨークがロックダウン。続いてニュージーランドが二年半の長い渡航制限に入ってしまった。
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