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こんなにも華奢でか弱いあなたを。傷つけられて苦しむあなたを……。
「放っておけません。
旦那さんの暴力か暴言、ですよね? ……お子さん連れてうちに避難してください」
* * *
というわけで。まさかの。
ご近所に住む永守くんのアパートに避難させて頂くこととなった……。
う。ひとまず、最低限の、二泊三泊出来るくらいの荷物は持ってきたけれども。
「狭いけど、自分のおうちだと思ってくつろいでね」やさしく声をかけてくれる永守くん。めちゃめちゃやさしいひとだ。「あ、うちのアパートの鍵がいるよね? 一矢くんのぶんと、お母さんのぶんだね。……一矢くんは、こっちがいいかな?」
誰もが知る、お耳をかじられた青いロボットのキーチャームがついたキーホルダーを差し出す。
一矢の表情がほころんだ。「うん。ありがとう、お兄ちゃん……」
にこにこする永守くんは、本当に、やさしい顔をしている。「一矢くん、ご飯、まだだよね? 辛い物とか食べれる? きみのお母さんが作ってくれたものがあるんだけど……」
一矢。辛い物は苦手なはず。……なのに。
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